病院では「エンゼルケア」という言葉を聞くかもしれません。亡くなった方の体を清めて、整えるケアのことです。
でも、この記事でお伝えしたいのは、体のケアだけではありません。送り出しの日までの時間に、赤ちゃんにしてあげられること、家族で一緒にできること——その全部です。それは赤ちゃんのためであると同時に、遺されるあなたたち家族が、悔いを残さないための、送り出しの儀式の一部だと私は思っています。
一人で抱えきれないと感じたら、いつでも連絡してください。 いのちの電話 0570-064-556/よりそいホットライン 0120-279-338
病院で聞かれること、頼めること
死産でも、バースプランはあっていいのです。だって、大事なお産なのですから。
私が実際に、病院で聞いてもらえたことを並べてみます。
- お産中、どう過ごしたい?(音楽をかけたい、好きな香りがある、部屋の明るさなど)
- お父さんは立ち会う?陣痛中もずっと一緒にいてもらう?
- 赤ちゃんに会いますか。抱っこしますか(お父さんも抱っこしますか)
- 生まれたあと、すぐに胸の上に乗せますか
- 手形・足形を取りますか
- お風呂に入れてあげますか
- お部屋でずっと一緒に過ごしますか(お預かりもできて、いつでも会えます)
- お洋服を着せますか。用意しているものがあればそれを。なければ、看護師が縫った小さな服もありますよ、と
- 母子手帳、書きますか
- 臍の緒は、手元に残したいですか
病院によって、できること・あることは違います。聞かれなかったからといって、できないとは限りません。「これはできますか」と、こちらから頼んでいいのです。
私は助産師として、これが「今しかできないこと」だと知っていました。だから、こうお願いしました。——「残せるものは、すべて残したいです。やりたいです」。あなたも、そう言っていいのです。
できること・できないことは、赤ちゃんによって違います
手形・足形は、赤ちゃんがとても小さかったり、体がもろかったりすると、取れないことがあります。お風呂やお洋服も、週数や状態によってできるかどうかが変わります。
できなかったことがあっても、それは愛情の差ではありません。できる形の中で、してあげられることを探せばいい。何がこの子にできるかは、スタッフが一緒に考えてくれます。
何も残さない、という選択もできます
手形も、足形も、母子手帳への記録も——何も残さない、という選択をしてもいいのです。
正直にお伝えしておきます。ペリネイタルロスを経験した方の書籍や体験談の中には、「あのとき何も残さなかったことを、あとになって後悔した」という声も、一定数あります。
それでも、残さないと決めることは、そのときのあなたが、自分の心を守るために選んだ答えです。あとになってどう感じるとしても、あのときのあなたの選択が、間違いだったということにはなりません。決めるのは、いつでもあなた自身です。
お洋服とお買い物の話
私たち夫婦は、翌日、よく行くショッピングモールに赤ちゃんのものを買いに行きました。自分の目で選びたかったのです。病院も「いいですよ」と言ってくれたので、赤ちゃんを預かってもらって、出かけました。
ただ、これは正直に書いておきます。産後の体で出かけられるかどうかは、人によってまったく違います。帝王切開のあとや、出血が多かった方は、翌日の外出は難しいと思います。私は出血が少なく、ふらつきもなかったから行けましたが——それでも、産後1日目の体でモールを歩き回るのは疲れて、帰ってからふらふらしました。助産師としては、おすすめはしません。外出できないときは、家族に代わりに行ってもらって、スマホの画面ごしに一緒に選ぶこともできます。行くなら、必ず病院に相談してからにしてください。
お洋服は、袴の形のロンパースにしました。「100日祝いで、着せたかったな」と思う柄を選びました。寒くないように、靴下も。それから、上の子たちには買ってあげたことのない、小さな飾りも——この子だけの、特別なおめかしです。おくるみと、ガーゼのハンカチと、絵本と、上の子たちの好きなキャラクターのぬいぐるみも(棺に入れるものは、燃やせる素材のものを選びました。何を入れられるかは、式場や火葬場によって違うので、確認してみてください)。
上の子たちのときには買ってあげなかったような、豪華な買い物でした。でも、いいのです。——この子にしてあげられることは、もう多くない。だから、うちは豪華にしました。
全部、2個ずつ買いました
そして私は、同じものを全部、2個ずつ買いました。1つは赤ちゃんに。もう1つは、手元に残しておきたかったから。
その子の分は、今も骨壷のまわりに置いてあります。同じお洋服、同じぬいぐるみ。あの子に持たせたものと同じものが、今も家の中に、あの子の場所を作ってくれています。
もし、これからお買い物に行く方がいたら——2個ずつ、おすすめです。
おわりに
ここに書いたことは、「全部やりましょう」というリストではありません。したいことだけ、できることだけで、いいのです。しなかったことがあっても、それはあなたが、あのときの自分と家族を守るために選んだことです。
ひとつだけ、知っておいてほしいことがあります。送り出しの日までの時間は、火葬場の予約状況によって決まる部分があります。うちは日にちを選べましたが、混んでいる時期には選べず、思ったより短いことも、逆に長く待つこともあるようです。——だからこそ、です。
「これは、あとからでもできますか?」——迷ったら、そう聞いてみてください。今しかできないことと、あとでもできること。それを教えてもらってから、決めれば大丈夫です。

