「一緒に家に帰れますか?」——先に、お答えします。帰れます。私も、帰りました。そして、家に帰らずお見送りする形を選ぶこともできます。
この記事では、退院から火葬までの間に何があるのか、どんな選択肢があるのかを、私の経験と、公的な決まりごとの両方からお伝えします。
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選べることの全体像
退院から火葬までの形は、家庭によって違っていいものです。
- 葬儀をするか、しないか。 葬儀社に式をお願いする家庭もあれば、しない家庭もあります。うちは、しないと決めていました
- 家に帰るか、帰らないか。 一緒に家で過ごしてから火葬する形も、病院や葬儀社から直接お見送りする形もあります
- 移動は葬儀社の車か、自家用車か。 葬儀社に頼めば車の手配をしてもらえます。うちは葬儀をしないと決めていたので、自家用車で帰りました
どれを選んでも、間違いではありません。
家までの道のり
自家用車で帰った日のことを、書いておきます。
私は助手席に座り、棺を、自分の胸とお腹と、ダッシュボードとの間に挟み込むようにして固定しました。ダッシュボードに当たる面にはバスタオルを挟んで、車の振動が直接伝わらないように。夫には、できるだけ揺れない優しい運転をしてもらいました。必死で棺を抱えながらの、家路でした。
私が必死に棺を抱えて帰ったのには、理由があります。小さな体は、とてもデリケートで、車の振動でも傷ついてしまうことがあるのです。——自家用車で帰る方に、このことだけ、そっとお伝えしておきます。
棺と費用のこと
入院前、ネットで調べたら「棺は自分たちで手配する」「10万円くらいかかった」という記事を見て、あんな小さな箱をどうやって、そんな金額を——と怖くなりました。
実際には、私が入院した病院には提携している葬儀社があり、そこで骨壷付きの桐の棺を、1万円あまりで買えました。
ただ、これは本当に病院によって違います。私が勤めていた病院では、ごく小さな赤ちゃんのための箱はあっても、大きな赤ちゃんの棺はご家族に用意してもらう決まりでした——私が入院前に焦ったのは、それを知っていたからです。
だから、まず「棺はどうしたらいいですか」と病院に聞いてみてください。病院で手配できるのか、自分たちで用意するのか。自分たちで用意する場合も、葬儀社に電話すれば相談に乗ってもらえますし、通販で買うこともできます。
あとになって、可愛らしい棺や骨壷が通販にあることも知りました。でも、すぐに適切な大きさのものが揃う葬儀社の棺は、あのときの最善だったと思っています。骨壷は、あとから替えたいと思えば、替えられますから。
家での時間と、保冷のこと
うちは暑い時期だったので、冷房を18度まで下げて、2日間を一緒に過ごしました。私は寒がりなので、真冬の格好をして。——それでも、そばにいたかったのです。トイレのとき以外は、私か夫のどちらかが、いつも一緒にいました。
保冷剤は、葬儀社の方が手配してくれました。「この分で足ります」と言われたけれど、翌朝どう考えても足りない気がして電話したら、「もう1日分あった方がいい」と追加してもらえました(追加の料金はかかりました)。心配になったら、遠慮なく葬儀社に電話して大丈夫です。様子を伝えれば、判断を手伝ってくれます。
手続きのこと
法律上「死産」とされるのは、妊娠4か月(12週)以降の場合です。それより早い時期の流産には、法律上の死産届や火葬の義務はありません(病院での対応になります)。
12週以降の場合、死産から7日以内に、市区町村の役所へ死産届を出すことになっています。医師や助産師が作成する証明書を添えて提出します。
流れとしては、こうでした。
- 死産届の書類は、病院側が用意してくれます(医師が書く証明書がついています)
- それを持って、住民票のある市区町村の役所へ
- うちの市では、役所での手続きと同時に火葬場の予約が取れて、火葬の日を決めると許可証が発行されました
順番として、書類の手続きが先です。私のいた病院では、許可証を確認してから、赤ちゃんをご家族にお渡ししていました。病院によって細かな流れは違うかもしれませんが、「先に役所、それから退院」という順番を頭に置いておくと、慌てずにすみます。
役所の手続きは、代わりの人に頼める場合もあります。でも私は、この子のことは全部、私と夫でしたかった。だから、2人で行きました。——誰かに任せるのも、自分たちの手でするのも、どちらもその家族の答えです。
もうひとつ、知っておいてほしいことがあります。火葬は、亡くなってから24時間を経ってからでなければできない、という決まりが基本ですが、妊娠7か月(169日)に満たない時期の死産は、この24時間の決まりの対象外です。つまり、法律上は、亡くなってすぐでも火葬できる場合があります。だからといって急ぐ必要はまったくありませんが、「早すぎるのでは」と迷っている方がいたら、知っておいていただきたい事実です。
お骨が残るか、心配なとき
小さな赤ちゃんの火葬で、「お骨が残るだろうか」と心配になる方は多いと思います。私も、心配しました。
調べていくうちに、低い温度で時間をかけて火葬した方が、お骨が残りやすいこと、炉の温度がまだ上がっていない朝いちばんの時間帯がよいと言われていることを知りました。役所で相談したら「火葬場に直接聞いてください」と言われ、その場で電話しました。事情を話すと、これまでの例を教えてくれた上で、「お約束はできませんが」と、朝いちばんか最後の順番を提案してくれました。私は朝いちばんを選びました。
当日は、じっくり、時間をかけて焼いてくれました。
残るかどうかは、誰にも約束できません。火葬場の混み具合や方針によっては、時間帯を選べないこともあります。それでも、「お骨を残したい」という願いは、伝えていいのです。火葬場は、こうした相談に慣れています。
誰と見送るか——上の子たちのこと
上の子たちには、家に帰った日、まず「会いたいかどうか」を選ばせました。2人ともすぐに「会いたい」と言ったので、棺の蓋を開けて、会わせました。
そして落ち着いた頃、正直に話しました。体は少しずつ崩れていくこと。焼かなければいけないこと。体はなくなって、灰や骨になること。送り出さなければいけないこと。父と母は火葬に行くこと。あなたたちは、一緒に行っても、学校や保育園に行ってもいいこと。——2人とも、「行く」と言いました。
先日、上の子に「あのとき、行きたかった?」と聞いてみました。「行きたかったよぉ!」と返ってきました。「怖くなかった?」と聞いたら、「怖かったよぉ」と。——両方とも、本当なのだと思います。怖さごと参加することを、子どもは自分で選べるのです。
忌引のこと
学校と保育園は、事情を話すと忌引の扱いにしてくれました。一方で、夫の勤め先は「生まれていない子には忌引は使えない」という返事でした。わが子なのに——これは、今でも憤っています。
忌引は法律ではなく、職場ごとの決まりです。使えるかどうかは、聞いてみないとわかりません。もし断られても、それはあなたの赤ちゃんの重さとは、何の関係もありません。制度が、まだ追いついていないだけです。
それでも、救いはありました。夫がこのことを相談した上司は、実は同じ経験をされた方でした。制度は変えられなくても、「なるべく奥さんのそばにいてあげて」と、休みの面で気遣ってくださいました。——同じ経験をした人は、思いがけず近くにいるものです。
おわりに
退院から火葬までの数日は、決めることと手続きが続く、慌ただしい時間です。でもその形は、葬儀をしてもしなくても、家に帰っても帰らなくても——あなたたち家族が選んだものなら、それがこの子を送り出す、いちばん正しい形です。

